遺産相続の問題は、相続人間での争いが発生するリスクもあるほか、専門知識がなければ解決は困難です。
そこで活用したいのが、法律の専門家である弁護士への無料相談です。
遺産相続に関する無料相談に対応できる弁護士は数多くいますが、一口に「相続」といっても内容は多岐にわたります。
せっかくの無料相談でも、適切な弁護士選びや準備ができなければムダになってしまいかねません。
本記事では、遺産相続を弁護士に無料相談する際のポイントや、無料相談をする際の注意点などを解説します。
遺産相続を弁護士に無料相談できる窓口4つ
遺産相続は高額な金銭が絡むことも多いため、複雑かつ親族間での対立を引き起こすことも珍しくありません。
このような状況を個人で解決するのは困難ですが、法律の専門家である弁護士に相談すれば解決に向けたアドバイスを受けることができます。
以下では、弁護士に無料で遺産相続の相談ができる4つの窓口について紹介します。
ベンナビ相続|夜間休日対応・電話での無料相談OK
ベンナビ相続は、相続問題に特化した弁護士をWeb上で検索できるポータルサイトです。
相談者が住んでいる地域や相談内容に応じて、相続トラブル・相続放棄・遺留分侵害額請求など相続問題に関する幅広い知識を持つ弁護士を見つけることができます。
平日はもちろん、登録されている弁護士によっては夜間や休日にも対応しており、電話での無料相談が可能です。
また、初回相談が無料であるため、気軽に相談できることも特徴です。
法テラス|3回まで無料相談可・収入などの利用条件あり
法テラスは、相続問題をはじめとした法律に関するトラブルを解決する窓口のような存在です。
経済的に余裕のない方に向けた無料法律相談や弁護士費用の立替払いを実施しているのが特徴です。
1つの問題につき3回までの無料相談が可能で、弁護士や司法書士との面談や電話相談が利用できます。
相続に関する法的なアドバイスを受けることができるほか、経済的な不安を抱える方にとっても強い味方となる窓口です。
ただし、法テラスを利用するには、収入や資産が一定の基準以下である必要があります。
詳しい利用条件を、法テラスのホームページで確認してから電話してみるとよいでしょう。
【参考】法テラス
弁護士会の法律相談センター|東京在住なら15分間の無料電話相談可
弁護士会の法律相談センターは、東京の弁護士会による法律相談所です。
東京都内に住んでいる方であれば利用でき、15分間の無料電話相談ができることが特徴です。
相談できる内容は幅広く、相続問題はもちろん借金や債務整理に関する相談などあらゆる法的な問題に対応しています。
相談時間は限られていますが、簡単な相談であればこの時間内で弁護士から的確なアドバイスを得られるでしょう。
【参考】弁護士会の法律相談センター
市役所・区役所|自治体ごとに無料相談会を実施
市役所・区役所といった自治体では、定期的に法律相談会をおこなっています。
法律相談会への参加により、相続全般について気軽に相談することが可能です。地域によっては、専門の弁護士が相談に応じることもあります。
自治体が開催している法律相談会は一般的に無料となっており、地域住民にとって気軽に相談しやすい窓口です。
ただし、必ずしも相続問題に特化した専門家に相談できるとは限らないため、具体的な問題解決が必要な場合は専門家に直接相談しましょう。
遺産相続について弁護士に無料相談したほうがよいケース
遺産相続はスムーズに進めば問題ありませんが、身内間での対立を引き起こしてしまうパターンも少なくありません。
このような場合、法律に関する十分な知識がなければ解決は難しいため、まずは弁護士に無料で相談することをおすすめします。
法律の専門家である弁護士から法律に則った適切なアドバイスを受けられれば、相続手続きもスムーズに進むはずです。
以下では、弁護士に無料相談したほうがよいケースについて詳しく解説します。
相続手続きの進め方がわからない・難航している場合
相続が初めてで手続きの流れがわからない、もしくは進め方に困っている場合は、早めに弁護士へ相談されることをおすすめします。
弁護士は法律に関する専門家であり、相続手続きに関しても適切なアドバイスを提供してくれます。
相続手続きには法的な側面が多く、スムーズに手続きを進めるためには専門的な知識が必要です。
弁護士に相談することで、遺産分割協議書の作成方法をはじめ、相続人や相続財産の調査方法など、具体的な手続きに関するアドバイスを受けられるでしょう。
被相続人の遺言内容に納得いかない場合
被相続人が遺言書を遺している場合、基本的には遺言書にしたがって相続手続きを進めることになります。
しかし、遺言書の内容に不満がある場合や遺言書の有効性について争いたい場合は、弁護士への相談が有効です。
遺言書の法的な解釈や遺留分侵害額請求など、複雑な問題に対応するためには専門的な知識が求められます。
弁護士に相談することで、遺言書の内容に関する法的なアドバイスや遺留分の請求方法など、さまざまなサポートが受けられます。
相続トラブルになる可能性がある場合
民法で定められた相続権を持つ人のことを「相続人」といい、1人の被相続人に対して相続人は複数いることが一般的です。
相続人全員の意見が合致すればいいのですが、相続人間で遺産分割に関する意見の相違があるとトラブルにつながるケースもあります。
もし相続人間でのトラブルが発生する可能性がある場合は、早めに弁護士に相談することが重要です。
弁護士は、相続人間の交渉をサポートし、適切な遺産分割協議をおこなうためのアドバイスを提供できます。
必要に応じて調停や裁判手続きに関するサポートも対応可能です。
すでに何かしらの相続トラブルが起きている場合
すでに相続人間でトラブルが発生している場合は、できるだけ早く弁護士による専門的な支援を受ける必要があります。
遺産トラブルを放置すると、相続財産の使い込みをはじめ特別受益や寄与分を巡る争い、遺産分割協議の行き詰まりなど、さまざまな問題に発展するリスクをはらみます。
弁護士なら、遺産相続に関する問題に対する法的な観点からの解決策を提案し、トラブルを解決に導くことができるでしょう。
遺産相続を弁護士に無料相談する3つのメリット
遺産相続は内容次第で遺族間での対立を引き起こすこともあり、法的な知識がなければ適切な対応は困難です。
相続問題に直面した際には弁護士への相談が最適ですが、まずは無料相談を利用して状況を伝えてみることをおすすめします。
専門家の視点から法的なアドバイスを受けることができるでしょう。
以下では、弁護士に遺産相続に関する無料相談をすることのメリットについて解説します。
①遺産相続をスムーズに進められる
相続手続きは非常に複雑で、特に初めて経験する場合は進め方がわからないことが多く、どう進めていいか悩んでしまうものです。
弁護士に相談することで、相続手続きの正しい流れや必要な書類、手続きの方法などを丁寧に教えてもらえます。
弁護士は相続をはじめとした法律の専門家であるため、手続きの際に法的な問題が発生した場合でも適切なアドバイスが受けられるでしょう。
②相続財産の適切な分割方法がわかる
相続財産の分割は、相続人間の意見の相違が生じやすいことが特徴です。
金銭だけであれば分割は比較的簡単ですが、相続財産に不動産が入っていると分割の難易度は一気に上がります。
弁護士に相談することで、相続財産の適切な分割方法だけでなく法的に認められる遺産分割の原則についてアドバイスが受けられます。
弁護士のサポートがあれば、公平かつ合理的な遺産分割によって相続人間のトラブルを防ぐことができるでしょう。
③相続トラブルの対処法がわかる
遺産相続の場では、被相続人による遺言の有効性を巡る争いや相続人間の意見の対立など、さまざまなトラブルが起こり得ます。
事前にトラブルが予想できる場合は、弁護士に相談しておくことでトラブルに対する法的な対処法や解決策を把握できるでしょう。
弁護士はトラブルの予防策や事前におこなうべき対策についてもアドバイスできるため、被相続人が生前に対策を立てておくという相談方法も考えられます。
遺産相続を無料相談する弁護士の選び方
無料相談に対応している弁護士は、Webサイトなどで探すと簡単に見つかります。
ただし、どの弁護士を選んでも同様のサポートが受けられるというわけではありません。
以下では、遺産相続に関する無料相談ではどんな弁護士を選ぶべきなのかを解説します。
遺産相続をスムーズに進めてくれる弁護士を探すためにご参考になさってください。
無料相談の条件を明記している
弁護士による無料相談では無料の範囲が設定されているのが一般的で、内容によっては有料になる場合もあります。
しかし、その条件が明確に提示されていないと、無料相談を受けにきたつもりが有料になってしまう可能性もあるでしょう。
弁護士を選ぶ際は、無料相談の条件が明確に記載されているかを確認しておきましょう。
無料相談の範囲・時間・回数などの具体的な条件が明示されている場合は、信頼性が高いといます。
また、無料相談後の費用体系についても事前に確認しておくことをおすすめします。
相続問題に注力している弁護士かどうか
遺産相続について相談するのであれば、相続問題に特化している弁護士を選ぶことが不可欠です。
相続問題の経験が浅い弁護士でも対応は可能ですが、適切なサポートが受けられるかどうかは疑問です。
相続に精通し、実際の相続案件を多く扱っている弁護士を選べば、複雑な相続問題に対しても適切なアドバイスを提供できるでしょう。
事前に弁護士の専門分野や経験を確認することで、相続問題に強い弁護士を見つけることができます。
説明がわかりやすい
相続問題は、法律的に非常に複雑です。しかし、相続人であれば把握しておくべき情報は少なくありません。
無料相談で弁護士を選ぶ際には、アドバイスがわかりやすいかどうかも重要な選択基準だと考えましょう。
難解な法律用語を平易に説明し、相談者が理解しやすい方法で情報を提供できる弁護士なら信頼できるパートナーとなり得ます。
弁護士費用について説明してくれるか
弁護士への依頼経験がない方にとって、費用は不安要素のひとつではないでしょうか。
費用体系が透明化されていれば安心感が得られるほか、弁護士に対する信頼性も高まります。
無料相談の際には、後から発生する可能性がある費用についても事前に明確に説明してくれる弁護士を選びましょう。
遺産相続について弁護士に無料相談する際の準備
無料相談は、相談できる内容や時間に制限があることがほとんどです。
そのため、相談内容を明確に決めておかなければ、せっかく専門家に相談できる機会をムダにしてしまう恐れがあります。
以下では、弁護士に遺産相続の無料相談をする際に、何を準備しておくべきかを解説します。
相続財産や相続人に関する資料を整理しておく
無料相談の前に、まずは相続財産や相続人に関する資料を整理してまとめておきましょう。
必要な資料としては以下のようなものが挙げられます。
- 被相続人の戸籍謄本
- 不動産の登記簿謄本
- 銀行口座の明細
- 保険証券
上記のような資料は、相続財産の把握や法的手続きをおこなう際に重要になります。
整理して手元に準備したうえで相談に臨みましょう。
遺産相続で希望することを考えておく
遺産相続に関する、自分の希望や目的を明確にしておきましょう。
たとえば、以下のような内容をまとめておくと、弁護士に具体的な相談がしやすくなります。
- 特定の財産を相続したい
- 遺産分割の方法について相談したい
- 遺言の有効性に疑問がある
自分自身だけでなく、相続人から出た具体的な希望や問題点があれば事前に整理しておくと、相談がスムーズに進みます。
質問事項を書き出して優先順位を付けておく
無料相談の時間は限られており、聞きたいことが複数あった場合は回答が得られない可能性も考えられます。
まずは自分自身の質問事項を書き出し、優先順位をつけておきましょう。
優先順位が明確になっていれば重要な質問から順に専門家に伝えることができ、時間内に本当に知りたいことを確認できます。
遺産相続について弁護士に無料相談する際の注意点
弁護士への無料相談は、専門家目線での的確なアドバイスが得られるため大きなメリットがあります。
しかし、本当に必要な情報を得るためには気をつけなければならないポイントもあるので注意が必要です。
以下では遺産相続を弁護士に無料相談する際の注意点について解説します。
自分にとって不利な事実があっても正直に話す
弁護士は提供された情報を基にアドバイスをおこなうため、事実を隠すと適切なアドバイスを受けることができません。
もし自分にとって不利な事実があっても、それを隠さずに正直に話すことが重要です。
不利な情報でも包み隠さず正直に情報提供することで、弁護士との信頼関係も築くことができます。
なるべく複数の弁護士に相談する
弁護士にはそれぞれ専門分野があり、同じ問題に対するアプローチの方法も異なります。
より客観的な視点を得るためにも、はじめから相談先を一つに絞らず複数の弁護士に相談することが重要です。
異なる弁護士からの意見を聞くことで問題に対する多角的な視点や解決策を得られるほか、自分の理想に合致する弁護士が見つかる確率が高まるでしょう。
相談後に依頼したい場合は見積もりを確認する
無料相談後に弁護士に依頼を検討している場合は、事前に費用総額を確認しておくことが重要です。
たとえ信頼できる弁護士だと判断できても、依頼後に予想以上の金額を請求されてしまうリスクがあります。
相談内容だけでなく、事務所によっても金額差があるため、可能なかぎり負担を抑えたい場合は見積もりを比較して安価なところを選ぶことも大切です。
弁護士に遺産相続を依頼する場合の費用
遺産相続に関する弁護士への依頼した経験がある方は、多くはないのではないでしょうか。
相続問題は、電話での無料相談だけでは解決できません。
弁護士に正式に依頼する予定がある場合は、相続にかかる弁護士費用について把握しておくことをおすすめします。
着手金|20万円~200万円以上
「着手金」とは、弁護士が相続案件に取り組むための初期費用です。着手金は、相続財産の価値や案件の複雑さによって変動するのが特徴です。
たとえば、財産が多額である場合や法的に複雑な問題が絡む場合は、着手金が高額になる傾向があります。
着手金は返金されないのが一般的であるため、依頼前に金額を明確に確認しておきましょう。
報酬金|経済的利益の額によって異なる
「報酬金」とは、弁護士が相続問題の解決に成功した際に支払う成功報酬のことです。
一般的には獲得した経済的利益の一定割合で計算されます。経済的利益としては、以下のようなものが含まれます。
- 遺産分割によって得た財産
- 遺留分侵害請求によって回復した金額
報酬金の割合は弁護士や事務所によって異なるため、具体的な計算方法や割合については事前に確認しておきましょう。
日当|1日あたり1万円~2万円程度
「日当」とは、弁護士が相続案件のために外出する際に発生する費用です。
日当が発生する作業としては、以下が挙げられます。
- 裁判所への出廷
- 相続人との面談
- 現地調査
日当の金額は弁護士や事務所によって異なりますが、一般的には1日あたり1万円~2万円が相場です。
なお、外出の頻度や距離によっても費用は変動します。
実費|依頼内容によって異なる
上記に挙げた費用以外にも、業務による実費が発生します。
実費の例として、以下のものが挙げられます。
- 相続手続きに必要な書類の取得費用
- 書類の郵送費
- 印紙代
実費は依頼内容や手続きの進行によって変動します。事前に弁護士に確認し、予想される実費の総額を把握しておきましょう。
さいごに|遺産相続に関する悩みがあるなら、まずは弁護士に無料相談
本記事では、遺産相続の手続きやトラブルなどを弁護士に相談したい方に向けて、無料相談できる場所やメリット、弁護士の選び方などを解説してきました。
多くの弁護士事務所では無料相談に対応しており、条件はあるものの手軽に遺産相続について相談することができます。
ただし、相続問題は複雑であるうえに正式に依頼した場合には高額な費用もかかります。
まずは相続問題に強い豊富な実績を持った弁護士や、費用などの面で信頼できる弁護士を探すところからはじめましょう。
無料相談を上手に活用することで、相続問題の解決にもつながるはずです。